日本国籍を有しない方のフリガナ氏名の取扱いについて

日本国籍を有しない方のフリガナ氏名の取扱いについて

日本年金機構は、令和8年10月1日から、日本国籍を有しない方のフリガナ氏名の取扱いを変更しました。日本国籍を有しない方の資格取得届で、フリガナ氏名だけが住民基本台帳上の情報と合わない場合に、ローマ字氏名で本人を特定するという、日本年金機構の側の手順の変更です。会社が届書に書くフリガナ氏名の書き方が変わったわけではありません。本稿では、日本国籍を有しない方を雇う会社が押さえておきたい点をまとめました。

目次

令和8年10月1日から、日本国籍を有しない方の資格取得届の内容を住民基本台帳上の情報と突き合わせた結果、フリガナ氏名だけが合わない場合には、ローマ字氏名で本人を特定する取扱いになりました。会社が届書に書く内容はこれまでどおりで、入国後初めて年金制度に加入する方は従来どおり資格取得届と一緒にローマ字氏名届を提出し、転職等で資格を再取得する方は、ローマ字氏名が確認できる書類の提出を日本年金機構から依頼される場合があります。日本国籍を有しない家族を被扶養者にするときの被扶養者異動届も、同じ取扱いです。

厚生年金保険の資格を取得するときや被扶養者の認定を受けるときは、国籍を問わずフリガナ氏名を届け出ることになっています。健康保険の手続を定めた省令である健康保険法施行規則の第24条第1項第1号も、資格取得届に記載する事項として「被保険者の氏名(片仮名で振り仮名を付するものとする。)」を挙げています。氏名に片仮名でフリガナを付けて届け出る、という意味です。日本年金機構は、届出の内容を住民基本台帳上の情報と突き合わせて本人を特定したうえで資格取得を決定していますが、日本国籍を有しない方の中には、フリガナ氏名以外は合っているのに、フリガナ氏名だけが合わずに本人と特定できないケースがありました。

そこで令和8年10月1日からは、日本年金機構の案内のとおり、「資格取得届に記載された内容と住民基本台帳上の情報を突合した結果、フリガナ氏名のみ合致しない場合は次の取り扱いとします。」とされました。フリガナ氏名だけが合わないときは、ローマ字氏名を使って本人を確かめる、ということです。変更の内容は次のとおりです。

項目これまで令和8年10月1日から
届書に書く氏名フリガナ氏名(漢字氏名は該当する方のみ)従来どおりフリガナ氏名を記載(日本年金機構のお知らせに、書き方を変える旨の記載はありません)
日本年金機構での確認届出の内容を住民基本台帳上の情報と突き合わせて本人を特定変更なし
フリガナ氏名だけが合わないとき本人と特定できないケースがあったローマ字氏名(ローマ字氏名届または確認書類に記載のもの)を住民基本台帳上の情報と突き合わせ、合致すれば本人と特定
資格取得の決定本人と特定したうえで決定本人と特定できれば、資格取得届に記載されたフリガナ氏名を基に決定

ローマ字氏名は本人を確かめるために使われるもので、資格取得の決定は、これまでどおり資格取得届に書かれたフリガナ氏名を基に行われる、ということです。

初めて年金制度に加入する方

今回の取扱いで、まず対象になるのは「入国後、初めて年金制度に加入し厚生年金保険の資格を取得する方(個人番号は持っているが、基礎年金番号を持っていない方)」です。この方については、従来どおり資格取得届に加えて、厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届(以下「ローマ字氏名届」といいます。)を提出します。日本年金機構は、フリガナ氏名だけが合わない場合、ローマ字氏名届に書かれたローマ字氏名を住民基本台帳上の情報と突き合わせ、合致すれば本人と特定して、資格取得届に書かれたフリガナ氏名を基に資格取得を決定します。

ローマ字氏名届には法令上の定めもあります。厚生年金保険の手続を定めた省令である厚生年金保険法施行規則の第15条第4項は、「日本国籍を有しない当然被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法第三十条の九の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)に係る第一項の届書(様式第七号によるものに限る。)又は光ディスクには、厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届(様式第七号の三)を添えなければならない。」と定めています。日本国籍を有しない方の資格取得届にはローマ字氏名届を添える、という定めです。

括弧書きで一部の方が除かれており、実際に提出が必要な方は日本年金機構が次のとおり案内しています。「外国籍の従業員の方を採用した際、個人番号と基礎年金番号が結びついていない方、番号制度の対象外である方については、資格取得届等とあわせて「ローマ字氏名届」をご提出ください。」

資格取得届は、厚生年金保険法施行規則第15条第1項で「当該事実があつた日から五日以内」に提出することとされており、日本年金機構の案内でも「事実発生から5日以内」とされています。入社などで資格を取得した日から5日以内ということです。ローマ字氏名届は資格取得届と一緒に提出するものですので、日本国籍を有しない方の入社が決まったら、早めに準備しておきましょう。

転職等で資格を再取得する方

もう1つの対象は、転職等によって厚生年金保険の資格を再取得する方です。日本国籍を有しない方が、以前に別の会社で厚生年金保険に加入していて、新しい勤務先で再び資格を取得する場合が当たります。この方については、ローマ字氏名が確認できる書類を提出した場合に、その書類のローマ字氏名を住民基本台帳上の情報と突き合わせ、合致すれば本人と特定して、資格取得届に書かれたフリガナ氏名を基に資格取得を決定するとされています。

日本年金機構の案内には、「なお、本人と特定するため、ローマ字氏名が確認できる書類の提出を依頼する場合があります。」とあり、書類の例として「在留カードやパスポートのコピー、個人番号の記載がない住民票(コピー不可)などです。」と示されています。在留カードやパスポートはコピーでよい一方、住民票はコピーでは受け付けられない、という意味です。

ここからは日本年金機構の案内ではなく、当事務所からのご提案です。日本国籍を有しない方で、転職等により資格を再取得する方を雇い入れるときは、入社手続の際に、日本年金機構からローマ字氏名が確認できる書類を求められる場合があることを本人に伝えておくと、依頼があったときに落ち着いて対応できます。

被扶養者異動届の取扱い

日本年金機構は、被扶養者の認定を受けるときにも国籍を問わずフリガナ氏名の届出を求めており、今回の取扱いについて「令和8(2026)年10月1日からの取り扱いは被扶養者異動届も同様です。」としています。日本国籍を有しない家族を被扶養者にするときに提出する健康保険被扶養者(異動)届も、資格取得届と同じ考え方で本人が特定されることになります。

ここでは、日本国籍を有しない方が初めて年金制度に加入するときに提出するローマ字氏名届の出し方を確認します。

提出方法と添付書類

日本年金機構の手続概要によると、ローマ字氏名届の添付書類は不要で、提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所、提出方法は電子申請、郵送、窓口持参です。資格取得届などを電子申請で手続する場合に限り、ローマ字氏名届をその届の電子添付書類として画像ファイル(PDF形式・JPEG形式)で提出できます。一方、資格取得届などを電子媒体(CDまたはDVD)で申請する場合は、ローマ字氏名届は紙で提出するよう求められています。

また、手続概要には「届出後も、機構から送付する通知書や資格確認書はカナ氏名で表示されます。」とあります。ローマ字氏名届を提出しても、日本年金機構から届く通知書などの氏名は片仮名で表示される、ということです。

記入上の注意

ローマ字氏名届の様式の記入上の注意では、「フリガナは、被保険者資格取得届に記入したものと同じフリガナを記入してください。」とされています。資格取得届とローマ字氏名届でフリガナが食い違わないように、同じものを書くのが基本です。

ローマ字氏名については、「ローマ字氏名は、在留カードもしくは特別永住者証明書または住民票に記載されているローマ字氏名を大文字で記入してください。」とされています。ローマ字氏名を持っていない方の場合は、「⑤ローマ字氏名欄」に資格取得届などに書いたカナ氏名を記入し、「C理由記入欄」にその理由を記入します。

電子申請での氏名の入力

電子申請で日本国籍を有しない方の資格取得届や健康保険被扶養者(異動)届を提出するときのカナ氏名の入力方法も、日本年金機構が案内しています。姓と名の間にスペースを1文字入れ、ミドルネームがあるなど名前の区切りが2つ以上ある場合は区切りごとにスペースを1文字入れます。姓がないなどスペースが入らない場合は、任意の箇所で区切ってスペースを1文字入れます。カナ氏名が25文字を超える場合は、原則として先頭から登録され、25文字目の直前のスペースまでが登録されるとされています。

日本国籍を有しない方を雇い入れるときに確認しておきたいことを、表にまとめました。資格取得届や被扶養者異動届の作成・提出に不安がある場合は、当事務所の労働・社会保険等の手続のサービスもご利用ください。

確認することポイント
① 加入歴の確認入国後初めて年金制度に加入する方(基礎年金番号を持っていない方)か、転職等で厚生年金保険の資格を再取得する方かを、入社時に確かめます。日本国籍を有しない家族を被扶養者にするときの被扶養者異動届も、同じ取扱いです。
② ローマ字氏名届初めて加入する方は、従来どおり資格取得届と一緒にローマ字氏名届を提出します。ローマ字氏名は、在留カード等に記載されているとおり大文字で書きます。
③ 確認書類の案内再取得する方は、ローマ字氏名が確認できる書類の提出を日本年金機構から依頼される場合があります。入社時に本人へ伝えておくことをお勧めします(当事務所からのご提案)。
④ フリガナの記載資格取得届のフリガナ氏名は従来どおり記載します。ローマ字氏名届のフリガナは、資格取得届と同じものにします。

ローマ字氏名が確認できる書類の例のうち、住民票は個人番号の記載がないもので、コピーは不可とされています。在留カードやパスポートはコピーが例に挙がっていますので、取り違えないように注意しましょう。

本稿の数値・条文は、次の官公庁の公表資料で確認しています(全て確認日:2026年10月5日)。

発行元資料名(クリックで原文へ)
日本年金機構日本国籍を有しない方のフリガナ氏名の取り扱いについて(令和8年9月16日 更新)
日本年金機構ローマ字で氏名を登録(変更)するとき(ローマ字氏名届の様式・記入例。令和7年12月25日 更新)
日本年金機構ローマ字氏名届の手続概要(厚生年金保険被保険者・国民年金第3号被保険者)(PDF。令和8年10月5日 閲覧)
日本年金機構就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き(令和8年10月1日 更新)
日本年金機構電子申請における外国籍の従業員に係る氏名の入力方法について(令和7年12月24日 更新)
e-Gov法令検索厚生年金保険法施行規則 第15条(令和8年10月1日施行の現行条文)
e-Gov法令検索健康保険法施行規則 第24条(令和8年10月1日施行の現行条文)

※行政機関のウェブページは、年度替わりやサイト改編に伴って予告なく移動・削除されることがあります。リンク先が表示されない場合は、発行元のサイト内で資料名を検索してください。

※本稿は公開日時点の官公庁の公表資料に基づく一般的な情報提供です。個別の事案については状況により取扱いが異なる場合がありますので、当事務所までご相談ください。

目次