経営者の皆さまは、「法定三帳簿」について、正しく理解されているでしょうか?
法定三帳簿は、その名の通り、労働基準法において作成及び保管することが定められている三種類の帳簿のことを指します。この帳簿は、単なる使用者の義務ではなく、労務管理を適切に行うために必要不可欠となる重要な書類です。なお、帳簿に関する義務を怠ると30万円以下の罰金に処せられる場合があります。
ここでは、改めてそれぞれの帳簿について詳しく確認していくとともに、厚生労働省が公開している各帳簿の雛形や記載例も併せて紹介していますので、どうぞ最後までご閲覧いただき、ご活用いただければ幸いです。
法定三帳簿の種類
法定三帳簿とは、労働基準法において作成及び保管することが義務付けられた以下の三つの帳簿のことをいいます。
それぞれにおいて記載すべき事項が定められており、三帳簿すべてについて、起算日(※)から5年間(当分の間は3年間)という保存期間が設けられています。なお、いずれも厚生労働省が様式を公開していますが、記載すべき内容に漏れがなければ、書面であれデータであれ、支店や事業場ごとに独自の様式で作成しても構いません。
頻度 | 保存期間の起算日 | 労働基準法 | 様式(PDF) | |
---|---|---|---|---|
労働者名簿 | 変更の都度 | 労働者の 死亡・退職・解雇の日 | 第107条 | 様式第19号 |
賃金台帳 | 給与支払いの都度 | 労働者の最後の賃金について記入した日 | 第108条 | 様式第20号 (常用) 様式第21号 (日雇労働者) |
出勤簿 | 毎日 | 労働者の最後の出勤日 | 労働時間の適正な 把握のために 使用者が講ずべき措置に関する ガイドライン | 任意 |
(※)起算日
起算日とは、期間計算における第一日目(初日)を指します。つまり、期間を数え始める際に「最初の日」となるのが起算日です。
労働者名簿
使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければなりません。なお、日々雇い入れられる者(日雇労働者)について、この義務はありません。(後述)
労働者名簿の記載事項
賃金台帳
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければなりません。
賃金台帳の記載事項
賃金台帳の保存期間の起算日が「労働者の最後の出勤日」ではなく、「労働者の最後の賃金について記入した日」であることについては、特に注意が必要です。このため、賃金の支払期日が最後の出勤日の日より後に到来する場合には、賃金の支払期日から起算して、5年間(当分の間は3年間)の保存義務が課せられます。
「調製」と「調整」
労働者名簿には「調製」の義務がある一方で、賃金台帳には「調整」の義務があります。いずれも読み方は「チョウセイ」ですが、少しニュアンスは異なります。
調製 | 注文に応じて作ること |
調整 | 調子・過不足を整えること |
法律にありがちな少しわかりにくい表現の違いですが、試験を受けるわけでなければ、実務上、あまり気にする必要はないように思います。
出勤簿
労働基準法には明記されていませんが、厚生労働省が策定するガイドラインにおいては、出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録に関する書類を作成し保存する義務があることが明記されています。
出勤簿の記載事項
日雇労働者について
日雇労働者については、常用の労働者とは異なる取扱いがなされています。なお、「常用」にはパートやアルバイト等の非常勤の労働者も含まれているため、これらの者については、既に説明している通常通りの取扱いとなります。
労働者名簿
日雇労働者については、労働者名簿を作成する必要はありません。
賃金台帳
賃金台帳は、すべての労働者について作成する義務があるため、日雇労働者についても、他の労働者と同様に賃金台帳を作成し、すべての記載事項を記入することが必要とされています。
出勤簿
労働基準法にこそ明記されていない帳簿ですが、賃金台帳との関連性を踏まえると、日雇労働者に対しても出勤簿を作成することが望ましいものとされています。
当事務所では
社労士事務所めぐみでは、法定三帳簿の確認等労務管理対応をサポートさせていただいています。顧問契約はもちろんのこと、スポット業務にも対応しています。(内容によります。)
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