派遣元責任者について

労働者派遣事業における派遣元責任者は、許可を取得する際の必置機関であると同時に、派遣労働者の雇用管理を適正に実施するための役割を担う重要な役職です。

労働者派遣法では、派遣元責任者に選任するための条件やその責務について規定し、派遣労働者の労働環境の維持向上を図っています。

ここでは、派遣元責任者講習を受ける方や労働者派遣事業をはじめようとされる皆さまに向けて、派遣元責任者について改めて紹介するとともに、派遣元責任者講習についても解説していきたいと思います。

(参考記事)派遣業許可について

派遣元責任者とは

派遣元責任者とは、許可を受けた労働者派遣事業者が、派遣労働者の適切な雇用管理や保護を担当させるために配置しなければならないものとされている役職です。(労働者派遣法第36条)

事業者単位ではなく事業所ごとに専属で配置する必要があり、派遣労働者100人に対して1人以上の派遣元責任者を選任することが義務付けられています。(下表参照)

事業所の派遣労働者の人数配置すべき派遣元責任者
1〜100人1人以上
101〜200人2人以上
201〜300人3人以上
301〜100人を超えるごとに+1人以上

なお、派遣元責任者は、自己の雇用する労働者の中から選任する必要がありますが、派遣元事業主自身、あるいは法人の役員を派遣元責任者とすることについては、特に問題ありません。

派遣元責任者の役割

派遣元責任者は、労働者派遣事業者における派遣就業に関し、以下の職務を担当します。

  • 派遣労働者であることの明示等、就業条件等の明示、派遣先への通知及び派遣元管理台帳に関すること
  • 派遣労働者に対し、必要な助言及び指導を行うこと
  • 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に当たること
  • 派遣労働者等の個人情報の管理に関すること
  • 派遣労働者についての教育訓練の実施及び職業生活の設計に関する相談の機会の確保に関すること
  • 派遣労働者の安全及び衛生に関し、当該事業所の労働者の安全及び衛生に関する業務を統括管理する者及び当該派遣先との連絡調整を行うこと
  • 当該派遣先との連絡調整に関すること

派遣元責任者の要件

派遣元責任者は、派遣労働者の雇用管理に携わる要職ですので、その選任にあたっては、以下の要件を満たすことが求められています。

  • 欠格事由に該当しないこと
  • 派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること

欠格事由

欠格事由とは、派遣元責任者としての適格性を欠く事由のことを指します。具体的には、以下のいずれかに該当する者を、派遣元責任者として選任することはできません。

  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は労働者派遣法その他一定の法令の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 健康保険法、船員保険法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法、労働保険料徴収法又は雇用保険法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 労働者派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
  • 労働者派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合において、取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該法人の役員であった者で、取消しの日から起算して5年を経過しないもの
  • 労働者派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法の規定による通知があった日から処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に労働者派遣事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く)で、届出の日から起算して5年を経過しないもの
  • 労働者派遣事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、上記の通知の日前60日以内に当該法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く)の役員であった者で、当該届出の日から起算して5年を経過しないもの
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 未成年者

労働者派遣事業の許可申請者にも同様の欠格事由が設けられていますが、両者は微妙に異なりますので、混同しないように注意しましょう。

たとえば、法定代理人から営業に関する同意を得た未成年者は許可の対象者となりますが、いかなる同意を得たとしても、派遣元責任者に選任することはできません。

適正な雇用管理能力

労働者派遣事業法施行規則では、雇用管理を適正に行うに足りる能力の基準について、以下のように定めています。この2つは、いずれにも該当している必要があります。

  • 過去3年以内に、派遣元責任者講習を修了していること
  • 精神の機能の障害により派遣元責任者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者でないこと

製造業務専門派遣元責任者

物の溶融、鋳造、加工、組立て、洗浄、塗装、運搬等物を製造する工程における作業に係る業務を「製造業務」といいますが、他の業務と比べて危険な機械や有害な化学物質を取り扱うことが多いため、労働安全衛生上の措置を徹底させる必要があります。

これらの措置を円滑に実施するために、製造業務において労働者派遣事業を行う場合は、派遣元責任者とは別に、製造業務専門派遣元責任者を選任して配置する必要があります。つまり、製造業務において労働者派遣事業を行う際は、派遣元責任者と製造業務専門派遣元責任者の両者を配置することが求められているわけです。

製造業務専門派遣元責任者は、製造業務に労働者派遣をする事業所ごとに、製造業務に従事させる派遣労働者100人につき1人以上を選任します。ただし、製造業務専門派遣元責任者のうち1人は、製造業務に従事しない派遣労働者を併せて担当することができます。

(具体例)

従事する派遣労働者派遣元責任者製造業務専門
派遣元責任者
合計
製造業務100人
その他の業務100人
1人1人1人は兼任可能のため、
1人でもOK
製造業務300人
その他の業務400人
3人4人1人は兼任可能のため、
6人でもOK

派遣元責任者講習

派遣元責任者講習とは、派遣元事業所の雇用管理や事業運営の適正化を図ることを目的に、派遣元責任者になろうとする者に受講が義務付けられている講習です。
派遣元責任者講習は、許可要件のひとつとなっており、派遣元責任者として選任されるためには、派遣元責任者講習を3年以内に受講していることが必要になります。

受講するための資格

講習を義務付けされるのは、既に派遣元責任者に選任されている者や選任される予定のある者です。実はこの講習自体には受講資格はなく、誰でも申し込むことが可能です。派遣元責任者に選任される予定のない者や、単に労働者派遣事業に関する知識の習得を図りたい者についても受講することが可能です。

講習内容

労働者派遣法の趣旨や派遣元責任者の職務、事務手続きなどに関する講習が行われます。講習期間は1日で、取得難易度は高くありません。

複数の講習機関が講習を実施してますが、カリキュラムは決まっているため、主催団体による違いはありません。

申込み方法

申込みは、各講習機関のホームページから直接行います。派遣元責任者講習は全国各地で実施されており、派遣元事業所の所在地にかかわらず、どこの講習を受講しても構いません。厚生労働省が日程や講習機関について公開していますので、ぜひ参考にしてください。


派遣元責任者講習の日程及び講習機関等について(厚生労働省公式サイト)

当事務所では

社労士事務所めぐみでは、企業の労務管理をサポートさせていただいています。顧問契約はもちろんのこと、スポット業務にも対応しています。(内容によります。)

当事務所の理念にあるとおり、まずはお客様のニーズを傾聴し、しっかりと課題を分析したうえで、事業内容や規模に応じたサービスを提案いたします。時代とともに変遷する新たな課題や最新の法改正にも対応することができるよう、常に知識のアップデートも行っています。もちろん、業務上知り得た秘密は厳守します。

また、社労士が取り扱うことのできないサービス内容であったとしても、速やかに説明を行い、税理士、弁護士、行政書士といった協力先の専門家を案内することが可能です。たとえば、労働者派遣事業の許可申請と同時に法人を設立しようとお考えの方には、司法書士(設立登記)、税理士(税務関連)、行政書士(他の許認可申請)をご案内させていただきます。


料金はあくまで参考価格になりますが、お客様の事業規模や個別の事情に応じて、柔軟に対応するよう心がけています。まずはお気軽にご一報下さい

記事を書いた人はこんな人

社会保険労務士 田平 恵(タビラ メグミ)
特技:昔のアニソンを真似ること
趣味:読書、カラオケ、食べること呑むこと
好きなもの: 芋焼酎🍶(特に霧島)
連絡先:06-7777-3981
お問い合わせフォームはこちらから